旧作 旧作・高原へいらっしゃい 
(昭和50年度・山田太一作品) 

 リメイク版
 bbs(伝言版)
 その他
 
  物語     解説     スタッフ     キャスト     ロケ     資料         

紹介

10

11

12

13

14

15

16

17

6話  


週刊誌の記者が来る事になった

七郎は金持ちの道楽息子

おばやんは大会社の社長夫人

あれは駄目だよ

 ホテル売り込みの為に出版社を回った面川清次(田宮二郎)。しかし相手にされず帰って来たが、それを聞きつけた雑誌記者がやってくることになった。 最初は、小細工無しにホテルのあるがままを見せたいと言っていたのだが、気が変わって、記者の前で芝居をしようということになった。 おばやん(北林谷栄)を社長夫人にし、みっちゃん(池波志乃)には御付きに扮してもらい、七郎(尾藤イサオ)には近くの別荘にきてるドラ息子になれと言うのだが・・・・。 この芝居が全部裏目に出てしまい、雑誌記者にばれてしまった。


泊まり客は私だけ?

小説家が居るの?

小説家って誰なの?

突然ブザーが・・・・

お部屋にお戻り下さい

そこのお嬢さん、出てきなさい

「全部嘘ですね」
「記事にして貰いたかったんです。他意はありません」

 面川は、総てを告白した。


あなた達、何考えているんですか

でたらめじゃないですか

翌朝

記事にできないんです

「記事にしたんですよ。でも出来ないんです」
「仕方ありません」
「そうじゃなくて、私、記者じゃないんです」

 高村靖雄(潮哲也)が、記者を殴ってしまった。

過去を語る記者

殴りたければ殴って下さい

本当に殴る靖雄

つづく

 面川は、ホテルを成功させるためには手段を選ばない。ニセ記者に嘘もつく。そういう人間だった。今回それが全部裏目に出てしまったのだが、どんなにバレバレの嘘をついても、下手な芝居をしても、誤魔化しきれないのが八ヶ岳高原ホテルのために一生懸命になって働く人たちの、ひたむきで一生懸命な素朴な姿勢だった。

 嘘はついた。しかし、一生懸命なみんなの姿に嘘はなかった。ホテルのために必死になって嘘をつく、それも単に給料のためについている嘘でないことは、ニセ記者にも伝わったのだ。記者にも伝わったのだ。