語録&解説
第2話 さぼっている鳥居ミツをやる気にさせる面川清次
「不満だろうと思っていた」 「すぐいくわよ」 「いいんだ。掃除なんかのために来てもらったわけではないし。ただ、すぐにはやる気がでないと言ってたし、特別扱いはしてもらいたくないと言ってたし、それでみんなと一緒の仕事をしてもらっていた」 「それでいいわよ」 「そうだね、ぼくの方がじれていてね」 「・・・・」 「君に来てもらったことが僕の自慢なんだ。どうだ、こんな有能な人間に来てもらったんだぞと、みんなに早く自慢したいんだ」 「どうかしらね」 「そうだよ。現に昨日だって、みんなに言おうとしたんじゃないか。君が、歯の浮くようなことを言うなっていうからやめたんだ」 「本当のことだけを言うなら止めはしないわよ」 「そりゃそうだ」 「どうってことないウエイトレスまで綺麗だのなんだの調子の良いこと言うから、私のとき何を言われるかゾッとしたのよ。私、お世辞きらいだからね」 「そうか」
「あのウエイトレス、きれいだからと言われたもんだから甘ったれて、ネズミくらいできゃーきゃー人を集めてさ」 「どうだい、みんなを驚かせてやろうじゃないか。君が凄い人だってところを見せてやろうじゃないか」 「そんなこと言って働かせようったって駄目よ」 「そうじゃないさ」 「だって現に困ってるんでしょ」 「困ってはいる。しかし、無理に働かせようとは思わない。だいじな人だからね」 「そんなことみんなに言ってるんでしょ」 「言ってないさ」 「わかってる、みんなに美味しいこと言って、君が一番だいじなひとだとか言って連れてきたくせに」 「僕は悔しいだけだよ。さっきね、誰とは言わないけれど、ミツさんて、どんな特技があるのって聞かれた」 「あのウエイトレスでしょ」 「そうじゃない」 「じゃあ、あのバーテンよ、人にマットレス早くはこべって偉そうに」 「君の能力を知らないからだよ。僕は悔しかったよ。ミツさんには、君たちが、とうてい適わない能力があるんだって言いたかったんだ」 「本当にそう思うなら話せばいいじゃない」 「口で言うより見せたいんだ」 「うまいこと言うわね」 「実はね、みんなを集めている」 「みんなを?」 「呼べばみんなが集まることになっている」 「みんなに君の力を見せたいんだよ」 「ぐつぐつ言い出しているのがいるんでしょ」 「それもある。しかしね、君がただの怠け者みたいに思われるのが辛いんだ。史郎君、みんなを集めてくれ」 「いやね、私、自慢たらしくやるのは嫌なの」 「君は自然でいいんだ、みんながビックリする顔が見たいんだ」
「条件があるわ」 「あのウエイトレスのことは冬子ちゃんといって、私だけにミツさんというのは、不公平だわ」 「君に敬意をはらっているんだよ」 「同じにして」
解説
ネガティブでさぼってばかり。集めたスタッフの中でも一番反抗的で、無愛想で、感じの悪い鳥居ミツを、どうやって、やる気にさせたかという点が興味深いですね。どうやったら人間をやる気にさせるかという点で参考になるシーンです。私もヘルパーさんのやる気を出させるために、参考にさせてもらっています。
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