旧作 旧作・高原へいらっしゃい 
(昭和50年度・山田太一作品) 

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番組宣伝2

 この写真は、番宣写真に使われたもので、ポスターから転用されたものですね。顔のサイズの大小は、事務所の力関係でしょうか? 今から見ると、どうして、こんなに豪華メンバーを揃えることができたのか、本当に不思議ですが、無茶苦茶すごいメンバーですね。これだけのキャストだったら、『高原へいらっしゃい』があれだけの名作になっても不思議はないですが、ここに、山田太一氏の脚本と高橋一郎氏の演出が加わったわけですから、凄いものができないわけがないなという気がしました。

 さて、下の映像を御覧ください。企業などに送る番宣用の冊子である『TBSテレビ・テレビニュース』です。内容を紹介したいと思います。

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TBSテレビ・テレビニュース
新番組

たこともない10人の男女を集めて湖のほとりに建つポロボロのホテルを再建するホテル支配人面川清次を演じる。ホテルの名前はグリーンウッド。緑の高原ホテルを舞台に、数々のエピソードを挿入しながら、ひとつの小さなホテルが繁盛するまでを爽やかに描く。宿泊客に多彩なゲストを迎え、おかしく、楽しく、甘く、ときにはスリルとサスペンス、ときには人惰劇、ときには辛い内面ドラマというように自在に描いていく。

●スタッフ
制作 TBS
原案 山田太一
脚本 山田太一
音楽 小室等
ディレクター 福田新一
西川章
田沢正稔
プロデューサー 高橋一郎

●出演
田宮二郎 面川清次
由美かおる 北上冬子
潮 哲也 高村靖雄
池波志乃 鳥居ミツ
古今亭八朝 小笠原史郎
益田喜頓 高間麟二郎
徳川龍峰 服部亥太郎
北林谷栄 有馬フク江
尾藤イサオ 杉山七郎
前田 吟 大貫徹夫
常田富士男 村田日出男
岡田英次 大場専造
三田佳子 面川祐子 

●登場人物のプロフィール

面川清次(支配人)38歳・・・田宮二郎

 大学卒業後、東京の一流ホテルに入社、32歳の若さでフロントの主任になった。人も羨やむ幸せな結婚もした。そんな順風満帆の彼の人生に突然、破局が訪れた。ホテルマンとしては致命的な失策を犯し、ホテルを解雇されたのだ。失意の日々がつづくうち、愛していた妻との間も次第にまずくなり、離婚も時間の問題だった。そんな彼に、義父からホテル再建というラストチャンスが与えられた。彼は久しぶりに意欲が湧き上るのを感じた。

高村靖雄(ボーイ)22歳・・・潮哲也

秋田県出身、四人兄弟の末ッ子。高校卒業後、上京しホテルに就職した。就職して一年、相変らずドアボーイのままだった。ホテルに対して感じていた彼の幻想は、もろくも崩れ去り、もう止めようと思っていた。そんな時、面川清次が現われて高原ホテルの再建に彼を誘った。

北上冬子(ウェイトレス)20歳・・・由美かおる

高校卒業後、都心のデパートの食堂で働いていた。彼女は明るく爽やかな印象を人びとに与える女の子だった。生きている事が楽しくてしようがない風と祝福されているような20歳。この彼女のそよ風のような爽やかなイメージを高原ホテルに持ちこみたいというのが、面川が彼女をスカウトした理由だつた。一ケ月前だったら彼女は面川の誘いを受け入れるはずがなかった。全くの偶然であったが、失恋というショックで東京を離れたいという彼女に、実にタイミングよく面川が出会ったのだった。

鳥居ミツ(ウエイトレス)24歳・・・池波志乃

電機通信工業高卒、彼女は生来の負けん気を発揮して男の職業と-されている電気関係の仕事を選んだ。彼女は充分魅力的であるにもかかわらず。自分は男にモテない女と思いこみ、必要最小限の事しか話さない閉鎖的な女だった。彼女が、益々孤独になりその淋しさから抜けるため郷里に帰ろうと思っていた矢先、面川から話があったのだが……。

小笠原史郎(ボーイ)22歳・・・古今亭八朝

高校卒業後、就職したが長つづきせず、いろいろな職業を転々とした。酒が飲めないくせにパーの雰囲気が好きで通っているうちに、自然とパーテンダーになっていた。人づきあいの好きな彼は初めて、自分に向いた職業を見つけた。いささか軽卒ではあるが、非常に楽天的な性格で、忙しかったり、辛かったりするときでも彼がいるだけで皆んなの気持ちを和ませてしまう特性を持っている男だ。

高間麟二郎(コック長)63歳・・・益田喜頓

シンガポールのレストランで長い間料理長を勤めていた彼は、年をとるに従って日本が恋しくなり戻って来たのだった。その彼に面川から誘いがかかった。彼が引き受けたのは、美味い料理を特色とするホテルをやりたいという面川の考え方が気に入ったからだった。料理人としての腕は一流であった。

服部亥太郎(コック長助手)30歳・・・徳川龍峰

彼は、創りあげると同時に消費される料理に、芸術品を作るように自分の限りを尽くしていた。本土を振り出しに台湾、バンコクの料理店で働き、シンガポールのレストランで高間に出会った。高間は彼がこれまでに出会った最高の技術の持ちぬしだった。また彼は、高間の料理に対する独自の考え方に心服していた。以来、彼は高間と行動を共にする師弟関係が今日までつづいている。

杉山七郎(運転手蒙雑役係)19歳・・・尾藤イサオ

素朴で素直なたくましい地元の青年。出来ることは全部、自分地やらねばならないグリーンウッドホテルでは彼の存在は貴重だった。ホテル開業に必要ないろいろな物の運搬も、彼の持つジープだけ
が頼りであった。物だけではなく、開業後の客の送迎も彼の仕事だった。

有馬フク江(雑役係)45歳・・・北林谷栄

オトボケおばさんである。彼女は知識欲が旺盛で、マソガ、週刊誌、スポーツ新聞しか読まない若いものより、いろんな事を知っている。働く事が好きで徹夜しても翌日は、ケロリとしているほどタフである。年令的に若いものが多いこのホテルでは、異色の存在だが、若い者以上に気持ちは若い。

大貫徹夫(経理係兼お目付役)30歳・・・前田吟

面川の義父、大場専造と郷里が同じ縁で、大場家の書生をしながら大学に通い、卒業後、大場の会社に経理係として入社。経理能力もさることながら、それ以上に真面目で固い人柄を買われて、ホテルの金銭管理のお目付役として派遣された。


●高橋一郎プロデューサーの話
テーマ云々より、まず最初に考えたのは、密度の濃い面白い作品をということだった。また、役者を自然に巻きこむ流れるようなプロデュースをしていく。キャステイソグも個性ある役者を心がけ、田宮二郎を含む10人の役者の個性を引きだし、その個性をドラマのキャラクターとしていく。第一にチームワ{クを大事にし、役者スタッフともに楽しんで作りたい。

○田宮二郎の話
ホテル支配人という役柄が非常に楽しい。第一話の台本を読んだが面白おかしく、これから先の山田太一さんの本が楽しみ。

○由美かおるの話
TBSで育った私と言えるくらい、TBS出演は多いが、なぜかいままでスタジオでのレギュラーは皆無、今度が初めてだけに張りきっています。また、共演の皆さんが若く、ドラマの内容ともマッチして非常に楽しい。


●第一回のあらすじ

 八ケ岳のふもと。バスの終点で村人にまじつて四人の男女がおりた。四人は面川(田宮二郎)にスカウトされハイランド・ホテルにやってきたのだった。だが土地の人に聞いてもホテルの名前さえ知らない。山道を歩くうちにホテルらしい山荘にたどりついたが、建物は荒れ放題。内部もお化け屋敷さながらだった。屋敷の中に、彼等と同じように面川に誘われて来たという老人と青年がいた。六人そろったところへ二階から面川があらわれた。

 面川は六年前にオープンしたが、ニカ月でクローズしたというこのホテルを再びオープンするために六人を集めたと語りとうとうとそのピジョンをまくしたてた。面川の大演説にのまれたかっこうで、六人は仕事をすることになった。さらに地元から仲間が二人来て、面川を通じての紹介がはじまった。早くからホテルに来ていた老人は高間麟二郎(益田喜頓)でコック長。青年はその弟子で服部亥太郎(徳川龍峰)。東京から来た若い娘は北上冬子(由美かおる)でウエイトレス、高村靖雄(潮哲也)はホテルのドアーボーイ、小笠原史朗(古今亭八朝)はパーテン。鳥居ミッ(池波志乃)は冬子と同じウエイトレス要員。そして地元の老婆は有馬フク江(北林谷栄)雑役係の、杉山七郎(尾藤イサオ)は運転手だった。面川を含めて総勢九名で、仕事は開始されることになつた。

 だが、面川の調子の良さが、かえって八人には不安である。仕事は掃除からはじまったが、そこへ運転資金の三百万円を持った大貫(前田吟)があらわれた。面川は経営者に全面的に信用されていると一同の前で言ったが大貫はフロント係を担当するという。一同の面川に対しての不信感がたかまった。だが、高齢の麟二郎の面川を信用するという一言で、東京へ戻ってもこれといって目的のない者やわずかの期待をかけてきた連中の集まりである一同は、ホテルにとどまることになった。十人あつまって立地条件のすこぶる悪いホテル経営はスタートしたがー。(番宜担当 江良照男)☆写真、ロケ、スタジオ色々あります。