旧作
 リメイク版
 ノートブック
bbs(伝言版)
 その他
  物語     解説     スタッフ     キャスト     ロケ     資料         

top 前説 10 感想 思索 その後

リメイク版の第1話解説3



2003年7月25日 (金) 17:13 

 映像表現を大別すると、映像にもパロル(言葉)としての表現とランゲージ(文法)としての表現の2つの異なる表現方法があります。フォトジニック理論とモンタージュ理論です。

 フォトジニック理論とは、映像そのもので訴えかける表現方法で、映像の美しさや雰囲気によって何かを訴える表現方法です。北の国からなどの倉本さんなどが得意にしています。

 それに対してモンタージュ理論は、異なる2つの映像をぶつけることによって全く違う化学反応をみせる理論のことであり、山田太一さんのシナリオの大半が、この手法をとっています。この場合、映像は単なる一つの断片として使われるために、一つ一つの映像の完成度は、必ずしも高くなくてよいのです。

 そういう意味で旧作は、モンタージュ理論をふんだんに使っているので一つ一つのカットの美しさよりも、人間のぶつかり合いの面白さが先行します。これが山田太一ドラマの面白さであるわけです。

 しかし、リメイク版の場合は、モンタージュよりもフォトジニック理論が多用されています。異なる2つの映像をぶつけることによって全く違う化学反応をみせるモンタージュよりも、一つ一つの場面を重視して、本間さおりの内面をえがくことを重視したフォトジニックな表現をドラマの中心線に置いてあるわけです。つまり、リメイク版の高原へいらっしゃいは、スタッフのぶつかりあいではなく、本間さおりの内面の追求なんですね。だから旧作とリメイク版では、全く別のドラマなんです。

次へ