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解説2

2003年8月26日 (火) 07:57

 予約も順調に入るようになった八ヶ岳高原ホテルでした。旧作は、ここでめでたしめでたしなのですが、リメイク版では、ここから佳境はいっていきます。

 水島絹江(八千草薫)という女性がホテルに泊まりますが、実は小池さんや本間さおりの父親が、かつて働いていたホテルのオーナーでした。彼女は、小池を引き抜きにきたのでした。本間さおりは、

「小池さんほどの人材がこのホテルにいていいのか?」

と面川を困惑させますが説得力がありません。

 旧作では、閑古鳥が鳴きすぎて、料理も作れないで悶々としている時に引抜があるわけですが、リメイク版では繁盛してて忙しい時の引抜ですから仁義に欠けます。八千薫でなかったら追い出されるところだと思います。リアリズムの無い設定ですが、リメイク版の『高原へいらっしゃい』は森の中の童話です。リアリティーを求めること自体が間違っています。そこに追い討ちをかけるように本間さおりはいいます。

「あれほどのシェフが値切っているんです」

 確かに小池さんほどのシェフだと、食材を値切ったりしません。だいたい買出しなんかにいきません。料理にもほとんど手を出さず、メニューを決めて指示を出して、味をととのえる程度の事しかしません。というか、忙しすぎて、できないんです。

 定員25人のホテルでも、稼働率が7割で毎日本格的な料理を出してたら、とても買出しなんかする暇がありません。どんなに高くても業者に食材を納入させます。そして、少しでも品が悪いとたちどころに返品です。だから業者は必死になって仕入れをします。当然の事ながらコストがあがりますが、ホテルではコストよりも、確実に高品質の食材を手に入れる事を優先しなければやっていけません。だから旧作では、きちんと業者がついていました。

 なのに、この八ヶ岳高原ホテルでは、メインシェフの小池さんが自分で仕入れをしているという。しかも値切っているという。小池さんの睡眠時間は4時間がいいところでしょう。そんな小池さんを本間さおりは、かわいそうだと思ったわけです。このへんの感覚は、私なんかの感覚とずいぶんずれていますが、これは父親が一流ホテルを外されて面川さんをうらんで死んでいったことと関係があるのかもしれませんね。