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解説2

2003年8月28日 (木) 20:59

  このような面川さんの態度は、御客さまのプライバシーを大切にすべきホテルマンとしては、あきらかにやりすぎです。してはいけない事なんですね。しかし、面川さんは捨ててはおけなかった。ホテルマンとしての仕事の範囲を超えて、御客さまと接しざるをえなかった。

 このへんは本当に難しいところなのです。
 ペンションや民宿ならともかく、
 わざわざホテルを選んで泊まりに来る御客さまの大半は、
 ホテルの乾いた空気が好きな人が多いからです。

 そもそもアットホームなホテルという概念は存在しません。
 ホテルは御客さまのプライバシーを大切にするところなので、
 いきすぎた親切すぎる接客は、あきらなに嫌がられるのです。

 しかし、面川さんは、御客さまをほっておけなかった。そして旅館やペンションや民宿のオーナーのように、八ヶ岳に行きたがっていた、あぶなかしい、何かやらかしそうな感じの御客さまに最後まで付き合いました。ホテルマンらしくなく、つきあいました。こういうところ八ヶ岳高原ホテルは、ホテルっぽくないですね。民宿の親父そのものです。

 しかし面川さんは、八ヶ岳の見えるところまで付きあいはしますが、決して、御客さまの内面に入ろうとしません。
 1歩だけかしこまっています。
 ただの民宿の親父なら『どうしたんだい?』と声をかけるところ、1歩だけかしこまっています。
 そのへんはさすがにホテルマンのだなと思いますが、
 1歩だけかしこまりつつも、控えめに御客さまに何かを伝えています。
 素晴らしい接客だなと思いました。

 人は、真心を込めて親切を行なっても、人々に、迷惑をかけることがあります。
 このとき、迷惑をかけることまで考えない真心は子供の真心です。
 迷惑を考えつつ控えめに見る真心こそ、相手の心をうつこともあります。

 アットホームさも、いきすぎるとかえって相手に迷惑をかけます。
 だからこそ、かえってそれをわずらわしく思ってホテルを選ぶ人がいることも確かなんですね。
 今回のストーリーには、そんなメッセージも入っていたような気がします。