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総括6

2003年9月6日 (土) 20:21

 しかし、だからといって自分が完全にプロレスファンになりきっているかというと、そういうわけではありません。これはサンタクロースを信じる子供たちの味方であっても、サンタクロース教徒ではないのと一緒です。あくまでも味方であって、それにのめりこんでいるわけではないのです。

 そこに気がつくと、サンタクロース信者の敵は、サンタクロース信者が鏡に写った姿であり、コインの裏表のような存在に見えてきたのです。そして、サンタクロース信者の味方になっている自分自身は、決してサンタクロースの信じてないことに気がつくのです。

「それでは、どうしてサンタクロース信者の味方になるのだ?」

とサンタクロース信者の敵が、抗議してきたりしますが、私は、このように反論します。

「プロレスだろうが、サンタクロースだろうが、それを信じる者の心を踏みにじる奴が許せないからである!」

 私にしてみれば、サンタクロース信者も、サンタクロース信者の敵も、うらやましい存在でした。なぜならば、私にとってはサンタクロースなんてまるっきり縁のないものだったからです。私は生まれてこの方一度だってサンタクロースから(親から)プレゼントをもらったことがないし、クリスマスイブも家族で祝ったことなどなかった。

 だから、サンタクロースの実在などを論争する奴の気がしれなかった。アホかと思った。私は、そんな論争なんかどうでもいいから一度でいいからクリスマスケーキを食べてみたかった。贈り主なんか誰でもいいからプレゼントをもらってみたかった。世の中には、そういう恵まれない人(自分)がいるのに、なに馬鹿なことに夢中になっているのだろう? とサンタクロース信者の敵を軽蔑したものでした。

 しかし、だからといって私は、彼らの敵ではありません。味方の反対は敵ではないのです。それを誤解されると困ります。そうではなくて、局外にいるものにそって、サンタクロース論争なんてアホらしくて加われないし、そんな論争より、誰か私にケーキを食わしてくれ! 靴下形の御菓子を買ってくれ! と叫びたい気持ちでいっぱいだった。サンタクロース論争に熱中できる奴らがとてつもなく羨ましかった。