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解説3

2003年8月26日 (火) 07:58

結局、小池さんは引き抜きに応じませんでした。応じなかった理由については後述するとして、仁義無く小池さんを引き抜こうとした絹江は、ホテルに滞在しているうちに八ヶ岳高原ホテルに『仁義』を教えてもらうことになります。

 絹江は、倒産しかかっている自分のホテルを『小池さん』という隠しだまで再生させるという勝利の方程式を頭に描き、八ヶ岳高原ホテルにやってきました。小池さんさえ手に入れれば、自分のホテルは再生すると信じて疑わなかったのです。

 この硬直した考え方は、リメイク版がスタートした頃の面川さんの思想と同じです。料理人をキープすれば必ず繁盛すると信じて疑いません。しかし、そんな絹江の考え方に微妙な変化が生じます。さぼり魔だった客室係の山村久美(市川実和子)の気配りと、御客さまへの対応と、御客さまと一緒に花火をしているスタッフたちの姿を見て、自分が描いていた『勝利の方程式』に疑問をもつに至るのです。

 翌日、チェックアウトした絹江の部屋には面川宛の手紙が一通残されていました。そこには「八ヶ岳高原ホテルへ来て自分がやるべき事がわかった。みんなが生き生き働いているこのホテルが目標だ」と書いてありましたが、絹江は、勝利の方程式よりも、もっと大切なものがあることにきがついたのでした。その大切なものこそが、リメイク版『高原へいらっしゃい』を語る上で重要なポイントになるのかもしれません。そして、そのポイントこそが、面川さんを変えてしまったものであり、若月を苦悩させる何かなのかもしれません。

 ちなみに小池さんは、絹江が乗る電車を遠くから見送っていました。絹江も涙ながらに電車でおじぎしていました。小池さんは本当は絹江のホテルを手伝いたかったのでしょうが、自分が手伝うことが絹江のためにならなかったことも知っていたのかもしれません。