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総括10

2003年9月8日 (月) 08:50
 リメイク版総括11

 では、リメイク版の魅力とは何かと言いますと、視聴者をホッとさせるところ、癒してくれるところなんですね。で、旧作や人間ドラマの見すぎなどが原因で、不幸にしい癒されなかった人間にとっては不満が残るドラマではあるのです。では、なぜ癒される人間と、癒されない人間がでてくるかと言いますと、これまたTBSと大きく関係しているなと思いました。

 TBSは、かってドラマのTBSといわれるくらいに、人間ドラマの名作を作り続けてきたところですが、主なライターの方が映画出身の人だったんですね。橋田さんや山田さんは、松竹といった人間ドラマを描くことに関しては、とても厳格な映画会社の人だったのです。

 そして、そういう方々が書いたドラマは、セリフとセリフのモンタージュによって化学変化をおこし、ストーリーを激変させ、見るもの次々と圧倒していきました。視聴者は、いつも圧倒されっぱなしでしたが、満足度も大きかった。

 ところが、このリメイク版は、視聴者を圧倒してはくれないんです。
 圧倒せずに静かに語りかけます。

 それは主人公の面川さんからしてそうなんですが、
 田宮次郎さんは、そのカリスマ性をもって劇中で登場人物を圧倒しますし、視聴者も圧倒します。
 しかし、佐藤浩市さんは、劇中で登場人物を圧倒するどころか土下座します。
 20万も月給を払っていながら土下座します。

 3万円の給料で「きみたちは自由だ」
 と突き放しながらもスタッフをひきつける田宮次郎
 視聴者もひきつけ、圧倒してしまう田宮次郎

 20万円も払っていながらスタッフに土下座する佐藤浩市
 ああ、なんという情けないんだ佐藤浩市は・・・・
 土下座しか脳はないのか?と視聴者を苛立てさせる佐藤浩市

 佐藤浩市面川さんは、田宮次郎面川さんに、全ての面で劣っていた。それがために、田宮次郎面川さんの魅力にメロメロになった旧作ファンの私には、とても我慢が、ならなかったわけですが、逆にいうと、佐藤浩市面川さんの魅力とは、そういう魅力であることに気づくと、このドラマの見かたがまるで変わってくるから不思議です。

 例えばです。

 八ヶ岳高原ホテルが2つあったとして、一つには、田宮次郎面川さんがいたとする。そして、もう一つには、佐藤浩市面川さんがいたとして、あなたは、どっちに泊まりたいですか?

 私なら、ハイな気分な時は、田宮次郎面川さんのいる八ヶ岳高原ホテルに泊まりたいですが、宮梶さんの気分の時は、佐藤浩市面川さんのところに泊まりたいです。そう考えると、佐藤浩市面川さんという存在は、ものすごく魅力的な存在に思えてきます。カリスマのない面川さんに、無性に魅力を感じてしまいます。 そう考えると、リメイク版『高原へいらっしゃい』とは、カリスマなきドラマであり、こういうドラマは、ある前提があると、とても魅力的なドラマなんだとということに気がつきました。